モレール

ゲーム紹介

 家に帰る途中、お腹の具合が悪くなっていくがトイレがない。さて、漏らさずに家に帰ることができるのでしょうか。

 各プレイヤーは手札を4枚持ちゲーム開始。手番になったら、手札を1枚プレイし、処理したら手札を1枚補充し次のプレイヤーの手番になります。カードには数字が書かれており、プレイする度にその数字を加えていきます。この数字は全体で共有しているもので、最初に31以上、61以上、91以上を宣言したプレイヤーはお腹の具合が悪化し、もしちょうど50か70を宣言できれば、お腹の具合が良くなる可能性があります。また、カードには数字以外にも効果があるものが多数あり、手番の流れを変えるもの(リバース)、次のプレイヤーの手番をとばすもの(スキップ)といったものから、右隣のプレイヤーの手札を1枚引くもの、手札を交換するもの、サイコロを振って特定の目が出たら効果が発揮するものなどがあり、ゲームの展開にバリエーションを与えています。

 お腹の具合はステータスカードで表しており、ゲーム開始時は7。お腹の具合が悪くなったら、そのステータスカードに書かれているせりふを読むというルールもあります。この値が0になったら漏らしてしまうことになります。誰かが0になったら他のプレイヤーは無事家に着いたことになるのですが、そこで全てのプレイヤーは最後のチェックを行い、お腹の具合が悪化したりします。


レビュー

 ノリを楽しむゲームです。というか、それだけです。このゲームはカウントアップ(ダウン)系のゲームへの不満点を解消したということで期待していたのですが・・・。

カウントアップ系のゲームの特長

 カウントアップ系のゲームの特長は「手札は3枚程度」「手札をプレイしてからカードを補充」「加減する数値は1、2、3、5、10などの計算しやすい数字が主である」などがあげられます。これらが重要な要素を構成します。それは「ゲームのテンポ」です。手札はあまり多くないので選択肢があまりなく、また出せる範囲で最も大きい数字のカードを出せば良いので悩む必要はありません。また手番ではプレイする前に引くのだと、その時点で選択肢が増えてしまうため、多少考える時間が発生しうるわけで、プレイ後に補充というのも納得がいきます。また、計算しやすい数字であるのもテンポを守るためには重要でして、例えば+7とかあったとしても計算しにくいでしょう。基本的にカウントアップ系のゲームのゲームは運ゲーであるが、それをテンポやノリで楽しむものであると言えるでしょう(一応書いておきますが、全てのカウントアップ系のゲームがこうあるべきだといっているわけではありませんので)。

「モレール」のテンポ

 では「モレール」を見てみましょう。加算する数字には計算しにくい数字があったり、途中サイコロを振るという処理があったりと、多少テンポを失っている感があります。また私の記憶力が弱いせいかも知れませんが、サイコロを振るという処理を行うとその間にそれまでいくつだったのかを忘れてしまい、思い出すのにちょっと時間がかかるのも問題でしょう(覚えてられないのは私だけですか。そうですか)。「モレール」は、カウントアップ系のゲームの特長といえる「テンポ」を多少捨てていると言えます。

不満点の解消が違う不満点を作っていないか?

 バーストポイント(ダメージを受ける数字)がゲーム中3個所に設定されています。「ノイ」や「オーノー99」などではバーストポイントまでが長くだらけてしまうのですが、30刻みにバーストポイントが設定してあるのは良い点だと思います。また途中にステータスが回復するポイントがあるのも良いかと思います。ただ、その回復ポイントへちょうどで行けるカードを作ろうと思って、計算しにくいカード(+9とか)を入れたのであれば、それは要らなかったかと思います。

 バーストポイントは、後になればなるほどダメージが大きくなるので、最初のバーストポイントでは「0」のカードをあまり使わずに後まで取っておこうと考えたとします。しかし、手札の交換系のカードがあるため、その戦い方はあまり得策ではなく、結局バーストポイントの直前では「0」や「マイナス」を使い、それらが無ければダメージという展開となってしまうと思います。手札の交換は「直ちにバーストする」カードを交換できるので、今までのカウントアップ系のゲームの不満点を一つ解消している(今までのはその手のカードを手に入れても対処する方法がなかった)のですが、バーストポイントを複数設定しているメリットの運だけでなく戦略性的な部分があるということを活用できないという問題を抱えてしまったと思います。

コンポーネント

 ああいうものを付けるくらいなら、サイコロを使うゲームなのですから、サイコロ2つくらい入れても良かったのではないでしょうか。

期待しすぎたのかも

 カウントアップ系のゲームへの不満点を解消したということで、過剰に期待しすぎてしまったのかも知れません。個人的には違う不満点が発生しており、ちょっとがっかりという感じでした。あと、「(カード)運」だけのゲームに「(サイコロ)運」の要素を足すのは無駄だと思っています。サイコロを使わなくてはいけなかったのでしょうか。正直疑問であります。あと、ゲーム最後のチェックは、逆転の要素があるとも言えますが(正確には「逆転」ではないですが)、結局運以外何もないことを言っているのも、個人的にはあまり好きになれませんでした。

 このゲームは、テーマ自体が「引く」可能性があるため人を選ぶもので、その引かない人であれば「多少テンポは悪いが、ノリで楽しめる運ゲー」として楽しめるのではないでしょうか。

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